無自覚の逆流性食道炎が声がれで発見された女性の話
逆流性食道炎で、声がかれてしまう場合があることをご存知でしょうか。逆流性食道炎とは、胃酸が逆流してしまうことで様々な影響が現れる病気ですが、声にまで影響を及ぼすことがあるのです。
ある女性の患者さんの話しですが、その女性は、サークルに所属してコーラスを楽しむのが趣味の女性でした。女性は、健康には気を使うタイプで、特に体に悪いところはないと考えていたのですが、ある時から、歌を歌うと声が枯れてしまったり、歌っている最中にタンがからだんようになったり、むせてしまうという症状に悩まされるようになったのです。
はじめは喉風邪でも引いたかと考えたそうですが、体には声の異常以外の症状がなく、原因は全く不明でした。声がかれるといっても、日常生活で話しをするくらいでは問題がないため、そのまま生活をしていたのですが、趣味の活動が思うようにできないことは、女性にとってはとても残念なことでした。そこで、思い切って耳鼻咽喉科を受診することになったのです。受診の結果は、喉や声帯には貼れなどの異常は見当たりませんでした。しかし、受診した病院の先生が逆流性食道炎の可能性に気づき、胃酸の分泌を抑える制酸剤を服用してみると、一週間ほどで声がれの症状は消えて、元の通りに歌が歌えるようになったとのことでした。女性には、胸やけなど、その他の逆流性食道炎の自覚症状は見られませんでした。しかし、自覚症状がほとんどなくても、逆流性食道炎を発生していることはあるのです。
逆流性食道炎の咳の場合と同じように、声がれの症状の場合にも、一般的には消化器の問題からくるものだとはすぐには疑わないことと思います。しかし、逆流した胃酸が声帯に炎症を起こしたり、声帯にまとわりついて声がれの原因になることがあります。
声帯の検査でも一見しただけれは分からないこともありますが、例に出した女性のように逆流性食道炎の治療を行うことで声がれが解消されることが多いため、逆流した胃酸の影響を受けていたことは明らかだと思います。
例の女性のように、医師が気づいてくれればいいのですが、原因不明の声がれにお悩みの場合は、逆流性食道炎の可能も疑っていましょう。場合によっては、通院する診療科を変えることで、こうした別の原因が分かって適切な治療ができることもあります。